Tokyo VR Meetup#16 『Laval Virtual』報告会

はじめまして、鈴木謙太と申します。IVRC2015,2016 ユース部門金賞2回受賞した超高校級のVR戦士です。

神奈川工科大学でKaitVRというVRサークルを立ち上げたりして忙しい大学生活を送っておりますが、
このたびVREAKでライターをさせていただくことになりました、鈴木17と呼んでいただければ幸いです。よろしくお願いいたします!

Tokyo VR Meetupとは?

さて記念すべき第1稿です。
2017年4月25日に
デジタルハリウッド大学大学院 駿河台キャンパスで開催されたTokyo VR Meetupに参加してきましたので、若者視点でレポートさせていただきたいとおもいます。

Tokyo VR Meetupとは「日本のVR開発を加速させる」を目的に、VR創業支援Tokyo VR StartupsとVR・パノラマ系メディア「PANORA」さんがタッグを組み毎月開催しているセミナーです。

16回目となる今回は「Tokyo VR Meetup #16 欧州最大級のVRイベント『Laval Virtual』報告会」。

報告会では、神奈川工科大学 白井暁彦先生と、株式会社gumi 代表取締役社長 國光宏尚さんが登壇されました。

 

Laval Virtualとは…世界最大のVRのフェスティバル!

鈴木17の感想として…「フランス小都市でやっている世界最大のVRのフェスティバル」というところです。初めに白井先生が登壇され、初めにLaval Virtualではどのような展示があったのかというビデオが上映されました。

 

なぜLaval Virtualは世界最大なのか?

なぜLaval Virtualは世界最大なのか、それはLaval市が日本の岐阜県をモデルにして1998年から20年間、バーチャルリアリティにフォーカスし、「VRとともに町おこしをし続けてきている」からなのです。岐阜県 各務ヶ原市で、岐阜の県知事さんが「これからはバーチャルリアリティだ!光ファイバだ!」と言ってVRテクノセンターなどを作ったそうです(証言VRの黒歴史)。

Laval市を擁するマイエンヌ(Mayennne)県の県知事さんがその当時のフランスの研究庁の有力者だったということや、国からの支援もあり、フランスでは知名度が低く,人口よりも牛のほうが多いといわれている(カマンベールチーズの名産地です)Mayenne県Laval市は、現在ではフランスの「AR/VRエンタテイメント代表都市」として「FrenchTech」というブランドにも選定されています。日本で言えば「Cool Japan特区」みたいな感じでしょうか。

現在ではLaval市町ぐるみでバーチャルリアリティに携わってきており、複数の大学や専門学校,修士課程,そしてベンチャー企業や中規模グローバル企業の本社などが集まっています。年間650人の学生がVRを専門で学び、そこでインターンシップをし、専門家としての職を得たり研究者になったり、企業を立ち上げたりしているそうです。この20年でLaval市の市長は選挙で何度か変わっているそうなのですが、時の政権が右や左に変わっても「Laval VirtualにNon」と言う候補者は絶対に当選してこなかった、というところも力強いです。

なぜフランスのVRは強いのか?

Laval以前に,なぜフランスのVRは強いのでしょうか?実は日本ととても似ている部分もあり、まず「映像メディアが大好き」そして「小さいものや映像のこだわりにお金を出す人が多い」、そしてVRに関連する産業が多い,という点が特徴だそうです。例えばLaval市で最も中心となっている研究機関はParisTech A&Mという大学のVR部門で、これは「Arts & Metiers(ENSAM;国立工芸大学)」です。ENSAMで最も有名な卒業生はベジェ。あのベジェ曲線を作った人物です。車会社ルノーの研究者だったベジェ曲線からCADが生まれ、そのCADから3DCGが生まれてデザインと産業を革新し、3DCGはゲームと映画で使われている以外の分野としては、フランスでCATIAなどの産業用CADを成長させながら、現在はVR産業へと進化していったそうです。

 

Laval市では現在,上図の20社ほどの企業が本拠地を構えて活動されているそうです。

CLARTEはLaval市内で最も歴史を持つVR/ARに特化した中小企業支援研究と技術移転センターです。CAVE型の大型没入ディスプレイ、机型の没入ディスプレイ、コラボレーションデスク、産業用力覚フィードバックシステム、モーションキャプチャツールで構成される塗装技術シミュレーターなど技術的プラットフォームを管理し、企業に提供しているそうです。

Laval Mayenne Technopoleは市が支援するインキュベーション施設、ここから多くの企業が立ち上げられています。

ENOZONEはVR/ARの製作会社,社長は日本の北陸先端大学でVRを学んでいて日本語も堪能とか。ゲームやクオリティの高いお城などを作っているそうです。フランスには世界遺産や古城の修復なども公共事業として多くあり、例えばモンサンミッシェルのような人気の世界遺産も得意。テクスチャをとったり、レーザースキャンしたり、ARでインタラクティブなコンテンツにして、工事や市民向けの開発を行い、修復後はミュージアムの展示物として需要があります。また、私が調べて見た所ゲームエンジンUnityのAsset Storeにも様々な3Dモデルを提供していました。

世界最大イベントとしてのLaval Virtual

Laval Virtualには様々なイベントが集まっており、その中でVRIC(Virtual Reality International Conference)やコンテストが行われているそうです。日本で言うとDCEXPOが開かれ、それと平行してIVRCや、その他のイベントが行われているので近いですね(DCEXPOとLaval Virtualは国際提携しているそうです)。

今年のLaval Virtualはとても規模が大きく、9,000平米, 出展社240社。プロフェッショナルデイに当たる3/22-3/24の3日間での来場者は前年度30%増の約7,900名、パブリックデイに当たる3/25,3/26の2日間での来場者は9,800名と合計17,700名の来場者を集め、欧州最大VRの祭典となりました。今回のLaval Virtualは会場の広さ、展示規模の大きさだけでなく、学生コンテスト、Startup contest、AR/VR Contents festival,市場関連では投資フォーラムなどもあり、とても数人でレポートできる規模ではありませんでした。また一方で、アンテナの良い日本からの参加者は数多くの重賞受賞があり、大きなプレゼンスをみせていました。

 

日本のVRパワーが大きく評価された2017年

Laval Virtual 2017のふりかえりとして、VR界のアカデミー賞「Laval Virtual Awards」において、日本からの投稿・展示が大きな賞をたくさん獲得しました(Laval Virtual Award 2017受賞者ページ)。

 

 

超人スポーツ協会&慶應KMD「SuperHuman SportsGames」

 

筑波大学IPLAB「FistPointer」

 

筑波大学 Digital Nature Group とアイシン精機によるコラボレーション「Telewheelchair」

立命館大学「MitsuDomoe」(動画の42秒目~

 

Laval Virtualは日本最大の学生VRコンテストであるIVRC、またアメリカ・ハリウッドの映画産業をベースとする国際会議ACM SIGGRAPHとも提携して、日本のIVRCにおいては「Laval Virtual Award」賞として、日本からフランスへの学生展示の招聘があり、フランスLavalからアメリカSIGGRAPHには「ACM SIGGRAPH Award」という招聘があります。今回、IVRC2016においてLaval Virtual Awardを受賞した「Real Baby – Real Family」はこの2つの賞を獲ったということで、日本→フランス→アメリカという大西洋まわりの世界一周を獲得したことになります。

関連:日本の学生VRコンテストIVRC2016からLaval Virtual Award経由でACM SIGGRAPH Awardを受賞しEmerging Technologies展示を決めた「Real Baby – Real Family」

VR脱出ゲーム『LAST LABYRINTH』で Best VR/AR Contents賞を受賞した たゆたう さん。

超人スポーツ協会(リリース)、立命館大学、筑波大学の「Laval Virtual Award」部門賞受賞もありました。多くは、国際公募デモセッション「ReVolution」にて採択されており、今年は「TransHumanism++」というテーマ。無料で広いブースを獲得し、大変な盛況でした。

 

VIPが見たもの,そしてLaval Virtualの将来

LavalにはLaval Virtual Campusと呼ばれる大学群,そしてLaval市民の悲願であった Laval Virtual Center の建築が進んでいます。

日本からのVIP参加者も gumi 國光氏、東大 稲見昌彦先生、慶応大学 中村伊知哉先生などもご参加いただいておりました(中村伊知哉先生によるTwitterとそのMoments)。

 

特に國光氏は投資フォーラムやラウンドテーブルでのご講演に加え、Laval市郊外に常設されるLaval Virtual Center(2017年夏オープン)の見学などもされているようです。

Laval Virtual Campusは、25ヘクタールのVR, ARのイノベーションに専念する研究施設。Laval Virtual Centerは2017年7月オープン予定の施設ですがその大きさがすごい。広さおよそ3,000平米。開発や研究創作活動に集中出来る複合施設で、白井先生の提言によりレジデンス(ウィークリーマンション的な宿泊施設の併設)も検討されているとか。クリエイターやスタートアップ起業を準備しているVR戦士には喉から手が出るほど欲しい施設となりそうです。

 

また、今回の大きなトピックの一つとして、Laval Virtualは中国の青島から10年で5億ユーロの投資を獲得したとのことで「Laval Virtual Asia」という新しいイベントを中国の青島市で開催する予定とのことです(2017/11/3-6)。


そして来年はLaval Virtual 2018(2018年4月4~8日)では20周年を迎えます。白井先生は「世界のLaval化,Laval Virtualizationが進んでいます」とまとめました。

 

世界のVRはARに向かう

次に國光さんが登壇され、主にARの可能性について熱く語りました。

ARは応用例が少なく、高価なHMDを買っても出来ることはちょっとしたゲームとメール、写真を撮る、スケジュール管理などちょっとしたことしか出来なく、意味がなく直ぐに飽きてしまうため発展には時間がかかるだろう。その点VRは実装がしやすく、ゲーマーに受けるのでどんどん発展していくだろうと思っていたそうです。ですが、MicrosoftがHololens(特許の塊)を出し、更にそれをオープン化した事によって、VRが完全に普及する前にARの時代が来るのではと仰いました。

 

Microsoftが特許の塊をオープン化した事によりCES2017において、Windows Holographic対応のVRヘッドセットがHP, Dell, Lenovo, Acer, 3Glassesから発表され,安価なMRHMDを提供し始めました。(楽天市場)

Microsoft,Intelなどが細かい部分を作成し、枠組みは中国、韓国などが作成する。こうする事によって、開発者、ユーザーに安価に提供できるのだと思いました。

問題はコンテンツと言う事ですが、個人開発者がどれだけ面白いものを作っても大企業が面白いものを作ったらネームバリューなどでそっちに持ってかれてしまうとも仰いました。

そして、FaceBookがTango搭載などのスマホで無くともできるARスタジオ なるものを発表しました。これは普通のスマホカメラの画像認識で、いわゆるSnow(Android,iOS)のような感じで顔にスタンプなどをつける事ができる他、ユーザー自らがエフェクトの作成をする事が可能です。

 

このままARが発展していき2007年にiPhoneが発売され、イノベーションが起きたように今後Appleがスマートグラスを発売すれば、iPhoneがハブとなるのでグラス自体の値段は安くなり一般に広まる。そして、ARスタジオで自分が行った場所などに集合写真や、ご飯の写真を残し、友達がそこにいく事で時間の共有、学校などでARオブジェクトを配置し、写真投稿などのイノベーションが起きると國光さんは予言されました。

 

トークセッションでは

トークセッションではVR広告Immersv社のCEOのMihirさんを加え、オーガナイザーの広田さんより以下のような質問が投げられました。

Q1.欧州のVR事情は?

Q2.なんでフランスはVRが盛んなの?

Q3.Lavalの雰囲気と注目は?

 

Q1.欧州のVR事情は?

 

ヨーロッパではLaval Virtual以外にも国際的なVRイベントが立ち上がりつつあります。またフランスはスタートアップ支援も活発です。Lavalはそれに先んじで Laval Virtual Asiaなど、世界をLaval化,Laval Virtualizationする挑戦を続けています。また小さい町で20年間やってきて、世間が注目がなくお金まわりが今ほどない時でも「どうすれば成功すればわかっている」ので、世界がLaval化する日もそう遠くはないとのこと。

Q2.なんでフランスはVRが盛んなの?

白井先生によると「立体視や、エンタメが大好きな国民性なため」。また「VR学会」と呼ばれる学術コミュニティは、フランス日本にしかなく、アメリカは国際会議などは多いのですが、学術VRの会は作られていないそうです。また日本では買えないPSVRですが、フランスでは余っていて、誰でも買える状態だそうです。開発者目線で見ると、開発ツールの手続きが色々面倒なようで「PCベースのHMDを使った方が楽だし、マーケットやコンテンツも豊富」という事らしく、どうしてもPCに流れてしまう傾向にあるのかもしれない、PSVRのライセンス担当者はもっとフランスの開発者に呼びかけていったほうが良い、とメッセージを発しました。

Q3.Lavalの雰囲気と注目は?

日本からLaval市に行くのは少し大変なようです。国光さん曰く「遠い!」、パリCDG空港からTGVで2時間程。街がとても綺麗で食べ物も美味しいそうです。また「日本、フランスでは開発のための研究を主にしていますが、日本は5~10年後に必要となる技術を作って行くべき!」とメッセージを発しました。

 

Laval市の公式YouTubeより。のどかな感じですね!

まとめ と おまけ

以上、わたくし鈴木17はこのような勉強会には初参加だったので、刺激的な事がたくさんあり、とても勉強になりました!

その後の、東大VRサークル「UT-Virtual」との交流もできたのがとても良いご縁でした!TVMさんありがとうございます。

 

IVRCでLaval Virtual賞を取り、Laval VirtualでACM SIGGRAPH賞をとった「Real Baby」は言語や文化の関係なくでき、家族をテーマにしているコンテンツと言うことで5~10年後必要になる技術を詰め込んだ素晴らしいVR作品であることが良くわかりました。これからも頑張っていきたいと思います!

 

今回の原稿で使用させていただきました、白井暁彦先生のTokyo VR Meetupで使用したプレゼン資料はこちらに公開されています。
Laval Virtualや、Laval VirtualとIVRCの繋がりについて知りたい方はぜひご覧ください。

 

p.s. 次回は東大「UT-Virtual発足会」についてレポートできるかも??

 

関連:
Tokyo VR Meetup #16 欧州最大級のVRイベント「Laval Virtual」報告会に、弊社コンテンツ「透明少女」をデモ展示しました(株式会社シータ) https://www.thetacorp.jp/news/n20170425/